札幌 円山原始林 八十八カ所コースの紅葉を見る。

紅葉の円山原始林内の登山道に沿って並ぶ八十八カ所の石仏(2023.10.30)

今年は、例年になく暑く、10月になっても日中20℃を超える日が何日も続いた。しかし、10月20日を超えると最低気温が5℃以下と流石に、朝夕が冷え込んできた。 新聞の気象予報では、「森が朝日に染まる」と報じ、紅葉の到来を告げている。

10月30日、天候も良いので、娘と札幌円山(225m)の八十八カ所登山コースに行くことにした。

円山物園横の第一駐車場に車を止め、北限のスギ造林地の中の木道を辿り、登山口に向かった。丸山山麓の森は、円山原始林と呼ばれ、国の天然記念物に指定されている。カツラ、シナノキ、セン、ミズナラ等の巨木が見られ、麓から山頂まで四国の八十八カ所を模して石仏が登山道沿いに並んでいる。この石仏は、近くで産する札幌軟石や安山岩が使われている。この原始林は、林床が疎らなクマイササで覆われ、灌木のウリノキやハイイヌガヤ、それにジュモンジシダやコタニワタリなどのシダ類も見られ、危惧していたシカの被害もみられない。

円山原生林の紅葉と八十八カ所の石仏たち

登山口からカツラの巨木と石仏の急な登山道を登っていくと尾根に辿りつく。このなだらかな尾根筋を500m程を上り下りしながら辿り、最後の急斜面を上り詰めると山頂に出る。 その間、十mおき位に小さなかわいらしい2~3体の石仏群が鎮座している。

赤い毛糸の紐帯で飾られ、幼い顔つきで登山者を見守っているかのように・・・

尾根に出ると、木々の間だから北の方向に丘珠空港、ツドーム、そして遠く石狩浜の風力発電の風車や増毛山塊も見える。

丸山(225m)山頂の巨岩と、札幌市街地の全貌

山頂に登ると、急に視界が開け、北大、植物園、道庁、中島公園等の森、豊平川、地下鉄の銀色のチューブ状の屋根、そして高層ビルに囲まれた整然と並ぶ札幌の碁盤状の市街地が手に取るように見える。遠く東の方角には、百年記念塔を撤去した野幌森林公園が、西岡丘陵の延長線上に臨める。

三角点のある頂上には、幼い十名程の幼稚園児から、若者、お年寄り、外国人観光客と多彩である。山頂部には大きな安山岩が露出しており、この山が火山であることを示している。

帰りも同じ道を辿る。爽やかな風に、落ち葉がハラリハラリと舞い落ちていく。小鳥はシジュウカラにゴジュウカラ、アカゲラ、それにエゾリス、円山動物園からエゾシカの声も聞こえる。

因みに、ゆっくり 登り約一時間、下り二十分のコースである。

当日の気温は、最高15.1℃、最低5.9℃。すばらしい秋晴れの一日であった。

では、また!!

参考  紅葉の仕組み

秋になると、樹木は冬支度を始めます。省エネのため葉の働きを止めるため、葉の付け根に離層というバリアを作ります。そして、葉の葉緑素を分解して養分に変え、幹に送りその養分を再利用します。そのため葉の緑色は薄くなります。それにつれて、葉にもとからあった色素が目立つようになり、これらの色素はカルテノイドといいます。これが強いと黄色の見えます。

一方、葉緑素が分解され、アントシアニンという物質が作られ、これが多くなり、赤く見えます。

モミジなどが赤くなるのは、葉緑素が分解する前にアントシアニンという物質がつくられ始め、赤や紫になり、アントシアニンが多いと赤くなるといわれます。そして冬になり活動を停止すると、離層から葉が切り離され、落ち葉となり、土に帰り、春になると再び養分となって、樹木の成長を支えます。

紅葉は、葉緑素が減って、もとからあるカルチノイドが目立つと黄色に、アントシアニンが多く作られると赤色になる現象です。