R4 道民の森「ボランティア活動」終了す!!

自然のオブジェ「コウライテンナンショウ」。

当別「道民の森」は、例年通り5月の連休に開園し、10月末日で全ての行事を終え、再び長い冬ごもり(休園)に入ります。

道民の森は、S60年、FAOの国際森林年に構想され「多くの道民が森林に親しみ、森林を知り、その恵みを受けながら自然と共に活きる心を養い育てる」を基本理念に、約12,000haの道有林が整備され、神居尻、牧場南、青山ダム、月形、一番川、青山中央地区など6地区が平成2年より徐々に供用開始となりました。そこを舞台に林務部OBが、森林解説のボランティアを始めました。

私の今年度最後の出番である10/16(日)は、朝からスッキリ晴れ渡り、気温19℃の絶好の行楽日和でした。

この日の相棒は、元道立林業試のNさんでネズミの専門家でした。この日は朝から神居尻山(947m)の登山客が次々と訪れ、登山口の駐車場は一杯でした。しかし、私達の出番「森の観察会」には一向に客は現れず、午前中はNさんとの動物学談義となった。

北大獣医学部卒の「和田一雄」先生のサル、シカ、オオカミ、そして海獣のラッコなどの話、さらにはNさんの先生「森鴎外のお孫さん」の「森ハンス」先生を介してのNさんを講師として道有林の野鼠研修会など昔話に花を咲かせました。その後、二人だけで案内コースを見て廻わりました。緑コースの広葉樹幼齢林では、シジュウカラ、ゴジュウカラが微かに鳴き、時折落ち葉が風に乗って舞うなど山の静けさそのもの。ミズナラの幹に巻き付いたツタウルシの紅葉は、あたかもミズナラが紅葉したかのような新鮮さであった。

落ち葉の敷き詰めた森の小径には、ホウノキの球果が橙色の種を覗かせながら大きな落ち葉の間に散乱している。小道には、暖かさに誘われ「ミヤマフキバッタ」が跳ね回っている。

コウライテンナンショウは、葉や茎の緑色は抜け、漂白されたような姿で頂部には真っ赤な実をつけ、天然のオブジェであった。この地は、春先にはカタクリ、エゾエンゴサク、キバナノアマナ、エンレイソウ、ニリンソウ等(スプリング、エフェメラル)のお花畑であったが、今はすっかり枯れ野原で、シイタケのホダギも片付けられ、イタヤカエデ、シナノキ、ホウノキなどの乾いた落ち葉が風に舞っている。

案内所に戻り、昼食を採っていると子どもづれの二組がやってきた。彼らは、階段や玄関先に数えられないほどのウヨウヨと動くカメムシ(スコットカメムシ)やテントウムシに恐れをなし、建物内部まで上がって来れない。出向いて、このカメムシたちは、冬眠のためこの建物の中に集団越冬中ですよ、これでも少ない方でこれからもっと多くなるんです。去年はこんなものではなかった、などと説明すると、親も子ども達もおそるおそる館内に入ってきた。(カメムシやテントウムシは成虫のまま、建物内の隙間に潜り込み、その数、数百、数千となって集団で越冬する。春先にはアブラムシ等にとりつき体液などを吸う。)

暫くして親たちがお弁当を広げる頃にはすっかり子どもたちは雰囲気に慣れ、大声で話したり駆け廻るようになった。館内にはタテハチョウや赤とんぼが飛び込んできたりして大喜び。続いてご婦人の二人づれがやってきた。私達も昼食を終え、一時半、Nさんはご婦人二人を連れ「オオナラコース」へ案内に出かける。そこにはヤマブドウが熟していて美味いなどと話している。

一方、私は、先の二人組親子五人の相手をする。これまで集めた野草や野鳥、獣の資料などを使って自然解説を行う。それを終え野外コースに誘うと、子供達はもう十分といって、母親達は、来春、花の咲く時期にまた出向いてくるといって帰って行った。

暫くするとNさんが帰ってくる。やはり、ヤマブドウは美味しかった、と言っている。

「観察日誌」に今日の出来事を記録し、案内所係のS氏に今年一年お世話になったお礼の挨拶をし、これで今年のボランティア活動は、すべて無事終了した。

帰路のフクロウ街道沿線は、稲が刈り取られ、この秋の収穫が全て完了し、田畑は冬を待つばかりであった。

私もしばらく冬ごもりとなります。

ではまた!!

参考図書

正・続 北海道の昆虫 (田辺秀男 著  長谷川仁 監修)北海道新聞社 S54,55

コメント

  1. 山根 より:

    ご苦労様でした。