オオカミを我が山野に放す!(その3)

パックで狩りするタイリクオオカミ(平凡社 動物百科1)

数年前、郷里山梨の自家山林でのスギ苗の食害、林業関係の友人、知人などの日本各地での森林や草原・湿原のシカによる被害、さらに3年前の、シカ研究の高槻成紀先生の北海道博物館での講演などから思いついたのが、オオカミの導入である。

きっかけは、日本オオカミ協会会長の丸山直樹[編著]、「オオカミが日本を救う!」であった。それが我がHP「オオカミを我が山野に放す!(その1)」である。

Y公園の「オオカミ再導入の成功」に異論を指摘する最新情報 2022.8.25(道自然環境提供)

さらに、1995年に米国イエローストーン国立公園でのカナダから再導入した14頭の狼の事例を調べ、その後の狼の生息数の変化や、エルク(鹿)生息への影響、植生・森林の変化などについて、ネットで検索した結果、思いも寄らない変化(成功例)が分かったので、次いで公開したのが(その2)である。それらを基に、北海道自然環境課(生物多様性主管)に問い合わせ、今後の北海道として狼の導入についての基本的な考え方、さらには、導入の可能性などを聞いたところ、2022.8.25付けの最新情報として、一通の文献が送られてきた。

その内容は、[(その2)成功例は]狼を導入した当事者側に有利な情報で、希望的な観測に基づくものであり、信頼性のおけない情報であるとしていた。

これは良くないと、関連情報を探したところ、同様な主旨の文献がいくつか出てきた。中でも、兵庫県研究センターの研究員がオオカミ導入を詳しく調べ、その報告書に基づくエッセー(1) である(後掲)。これは、狼の生息数が増えるに従い家畜被害も生じ、狼の生息数コントロールの実施とその数量、被害にあった家畜の補償費など具体性に富む情報であった。

それ故、基本的に「如何に対応すべきか?」を考えることとした。

日本には、明治時代までは全国に狼が生息していた。しかし、緒事情によりで、狼は人間により駆逐された。そこで、

①古来日本人、特にアイヌの人達の「狼の民俗」

②米国イエローストーンやその他地域での最新の「狼関連情報」

③「どんな人達の立場に立って」情報発信するのか?

などついて検討し、報告することにした。

Ⅰ.北海道でのエゾシカの生息、及び被害状況

エゾシカの生息域は主に森林で、通常人目の付かない所である。平成10年頃から異常に生息数が増し、農業被害などから大きな社会問題となった。そこで、精力的に調査を行っている北海道の事例を参考に、日本各地の姿を想定して頂きたく、先ず本道の概要を述べる。

1 生息数の状況

エゾシカの捕獲数の推移(北海道)

令和3年の全道生息数は凡そ80万頭と言われる。この生息密度は、森林100haに平均15頭程度となる。生息数の推定には大きな誤差を伴うが、最近10年間位はこの程度で推移している。そこで、確かなデータである捕獲数の推移を見ると、この10年間は13~14万頭/年で大きな変化が無く推移している。

捕獲数をより詳しく見ると、平成6年2.9(内許可1.1、狩猟1.8)万頭 、 H10年8.4(内許可3.4)万頭、H24年14.4(内許可7.5)万頭 、R3年13.0(内許可10.0)万頭であり、増減を繰り返しながら増えている。

この様に、H10年を小ピークに以降減少したが、H16年頃から再び増加し始め、H24年には最大ピーク14.4万頭となり、以降減少傾向にあるが、R2,3年と若干増加し13万頭となっている。

これは、生息数の多い道東(オホーツク、十勝、釧路、根室)地域の生息数に大きく左右されるが、最近生息数が増え始めた道南(後志、渡島、檜山)地域では、H17年約500頭で、R3年は約6,000頭と右肩上がりに増加の一途を辿っている。

2 被害状況

北海道における「民有林の人工林」被害面積

① 人工林(北海道水産林務部調査)

国有林を除く民有林の人工林被害面積は、H7年 0.3 千ha、H10年0.4 千ha、H26年3.4千ha、R3年1.7千haで、ここ5年間は平均して2,000ha/年前後である。 最近年間の民有人工林の被害面積は右表の通り。

② 天然林(北海道水産林務部調査)

北海道天然林のエゾシカによる影響評価(2021)

天然林の森林被害の実態は定かでないが、2021年の被害状況は、右図の通りである。近年はエゾシカの痕跡の見られる範囲が全道に拡大しており、2021年調査では、胆振、日高、釧路、根室、オホーツク地域等がスコアーが高い地域である。そして、黄・赤色の地域では、下床植生の衰退など強い影響があり、緑色の地域でも後継樹が減少しているという。

③ 全国規模の「シカ影響アンケート調査」結果から(前迫ゆり・高槻 編 シカの脅威と森の未来 2015  文一総合出版)

シカの植生への影響調査(2009-2010 )植生学会調査

シカの植生への影響調査には、2009~2010年に植生学会が行った調査がある。これはシカの植生への影響を、影響のない場所も含めて全国出来るだけ多数の地点に於いて、共通の調査項目、評価基準によって把握するため行ったものである。それによると、水平的には、知床など北海道東部から屋久島や五島列島までの全国に、垂直的には、海岸付近から南アルプスの高山地帯まで拡がっており、日本の全ての植生帯で認められた。

特に関東以西の太平洋側山地では、いくつかのまとまりを持って強度の影響域が拡がっていた。また、日本を代表する阿寒、日光、南アルプス、大台ヶ原、霧島、屋久島といった自然植生が残されている世界自然遺産や国立公園として保護されている地域でも深刻なシカの影響が生じていることが分かった、と言う。

これとは別に、高槻成紀氏の報告によると、特に、東京西部奥多摩のオオダワでは、大規模な土砂崩れが起きている。関係者の話では、これまで同規模の雨で土砂崩れになることはなかったが、シカが増え植物が無くなってから、土砂の流出が大きくなり、それが蓄積して土砂崩れになったのは間違いないという。この復旧には数億円を要するという。この様に植生喪失に留まらず、土砂の流出、崩壊まで及んでいる。

④ 北海道 洞爺湖中島の状況

私は平成9年夏、洞爺湖中島を視察した。中島(0.5ha)では25年前にエゾシカ3頭を放して以来急撃にその数を増し、S58には229頭に増え、その後、個体崩壊が生じ、翌59年には67頭が大量死した。そこで95頭を捕獲し生息数を半減させた。その後、平成10年頃までは150~200頭前後で生息数は安定していた。私が訪れたのは丁度その頃であった。私はその光景の異常さに驚いた。シカの背の届く範囲(Dear Line約2m)内の緑は、シカの忌避するハンゴンソウやイケマ、フッキソウ等で、他の草本、樹木の稚幼樹は無く、地表には落葉もなく、全体に褐色で農場の柵内のような光景で、おまけに家畜の異臭が漂っていた。当時のエゾシカの生息密度は、100ha当たり30~40頭で、現在の北海道の2倍強の超過密社会であった。なお平成23年には306頭が確認されている。

Ⅱ.オオカミの民俗・生態

遠藤公男 ニホンオオカミの最後 2018 山と渓谷社

1 民俗

①昔の名前はオイノ

中国で漢字が誕生した頃、けものへんに「良」の字を当てるように、良い獣であった。日本でも中世には、狼の字を冠した地名が多くある。岩手県花巻市に狼沢(オイノザワ)という村があるが、ここは狼沢豊後守という豪族の領地であった、という。名字にする位だから狼は悪者ではなかったはずだ。岩手県には同名の集落が数カ所有り、青森県にもあるという。読みはいずれも「オイノザワ」だ。この他にも狼峠、狼森など狼の付く地名がたくさんあるという。

②万葉集に「大口の真神」と言う表現がある。大きな口の神から「大いなる神」、つまり大神=狼になったもので、人々が神秘的な殺傷力を神の仕業と崇めたのが語源という。

③三峯山の神の使いは狼

埼玉県の三峯山(1,101m)にある三峯神社は、日本武尊が戦勝祈願したと伝説があり、この神社の神の使いは狼という。この神社の神主は、火難除け、盗難除け、交通安全、家内安全、商売繁盛、受験合格など、あらゆる幸せに神通力を発揮するという。柳田国男は遠野物語の中で、三峯様というのは狼の神様のことであると言っている。

(①-③は「ニホンオオカミの最後」から)

更科.更科 コタン生物記 2020 青土社

④アイヌの人達の伝承(コタン生物記)

アイヌの人達は、オオカミのことを「ホルケイ・カムイ(狼神)」と呼び、また、釧路地方では「「狩りをする神」、十勝地方では「シカ獲る神」と言い、オオカミの呼ぶ声を聞くと、「神様が呼んでいる」と言って、荷縄を持って、オオカミの獲ってくれた鹿を背負いに行くという。

伝承1 足寄の足寄太付近で、イラクサを採っている老婆を襲うクマとオオカミが咬み合い、共倒れしながら老婆を救ったと言う。

伝承2 オオカミが鹿を捕らえて食べているところに行き会っても、咳払いをすると獲物を置いて、人間に譲ってくれると言う。

この様に、アイヌの人達は、オオカミは熊に対し人間に味方する神、鹿の肉を人間に分けてくれる神として崇拝している。

2 生態

1)狼の種(「オオカミの最後」から)

オオカミは、北半球に広く分布し、ユーラシア大陸に広く分布するのはタイリクオオカミで、北米のハイイロオオカミはその亜種という。オオカミは生肉のみを食する大型肉食獣である。

①ニホンオオカミ:本州、四国、九州に分布したが、ユーラシア大陸の狼より小型であるが、その生態は分かっていないが、現存する大陸の狼と大きな違いはないと思われる。

②エゾオオカミ:北海道がサハリンと陸続きだった頃、大陸から渡来したものでタイリクオオカミと同じ種という。

イギリス、日本では絶滅した。オオカミは、1家族又は数家族が数頭から十数頭の群れを成し狩り(行動)をするという。オオカミの群れは「パック」と呼ばれ、血縁ある個体より構成され、ある家族の最高位のリーダー(オス)が統率する。オオカミは、1年中安定した「縄張り」を持ち、その広がりは1パック100~1,000km2 にも及ぶという。生後メス2年、オス3年で性成熟し、メス・オス1対は生涯連れ添い、1産平均7子、多くて14子と多産である。 肉食獣でイヌ科、自然界では生態系の頂点に君臨する。

2)  狼の撲滅

北海道の先住民族アイヌの人々は、農耕をせず年中鹿を採ってその肉を食べて生きていた。主食が鹿だったのだ。鹿は蝦夷地に沢山いたが、狼の食べ物でもあった。明治になって開拓が始まると進入してきた日本人は鹿を捕らえて売り出した。

明治8年の鹿皮産出高7.6万枚、恐るべき乱獲! 明治11年、開拓使は千歳に鹿肉缶詰工場を建設。 明治12年、記録的大雪で沢山の鹿が死亡。飢えた狼は牛馬を狙うようになる。狼は放牧地の中で子馬を殺してから親馬を殺すようになり、鉄砲で退治しようとしたが不可能、お雇い外国人エドウィン・ダンの指導で硝酸ストリキニーネで毒殺を図る。さらに、開拓使は明治10年から狼退治に賞金制度を導入した結果、明治14年121頭、19年432頭を数え、10年間で1,539頭が捕獲され一掃される。明治19年頃には北海道に狼は殆どいなくなる。届けられず死んだものを含め、北海道には2~3千頭の狼が生息していたと推測される。(犬飼哲夫著 北方動物誌 昭和50年 北苑社)

この米国製の同じ毒薬ストリキニーネが、岩手県の上野牧場の天井裏から100年以上前に輸入された物が発見され、北海道の成果が岩手県庁にも伝わり、東北のニホンオオカミの撲滅に繋がったという。

Ⅲ、イエローストン(Y)公園への再導入とその後

イエローストーン国立公園に定着したオオカミ

 1,狼の再導入の評価

・Y公園で狼が姿を消したのが1926年。以来、70年、エルクは、飛躍的に数を増やしていく。

・1995年、そんな「鹿の楽園」に行政により14頭の狼が放たれた。

・「餌の宝庫」は絶好の狩り場と、狼の群れはエルク狩りに精を出す。

・エルクは、狼を避け、見通しの良い開けた土地や、逃げ場のない地形から撤退。狼の補食に加え、エルクの活動範囲が抑えられ、繁殖率も下がり、個体数が大きく減少した。その結果、エルクに駆逐され、失われた森の樹木が急速に生長回復し始めた。

・森林が回復すると鳥が戻ってきた。また、水辺に木々が茂り、土壌が豊になったことにでビーバーの個体数が増加。ビーバーの造るダムによって、川の流れが適度に遮られ、魚や水鳥が生息しやすい環境がもたらされた。豊かな水辺にはカワウソも姿を現すようになった。

・さらに、狼不在の間、森の捕食者として幅をきかせていたコヨーテが狼に駆逐された結果、ウサギ、野ネズミ、ジリスなどの小動物が増加。すると、それを捕食するキツネやイタチ、アナグマ、猛禽類の生息化環境が改善され、これら個体数が順調に増加してきた。

・すると、水流も変わり川の蛇行が減少し、浸食・崩壊が減じ、川幅が狭くなり、水深が深くなったことで魚などの水中生物が、生息しやすい川へと生まれ変わった。

・狼の再導入によって、広大な国立公園の生物多様性が増え、生態系だけでなく、環境(景観)までもが本来の姿を取り戻した、という。

2,評価に対する反論

以上のような良いことずくめの見解に対し、異論が提出された。

①ユタ州立大学 生態学者ダン・マクナルティ氏の見解

「オオカミが、Y公園の生態系を復活させた」というのは誤りである。

イエローストーンは食物網がかなり複雑であり、肉食動物はクマやピューマなど数多くいるため、オオカミは鹿に対する脅威としては僅かな役割しか果たせない。「オオカミだけが原因でないことは直ぐに分かった。少なくとも早い段階では、オオカミは殆ど影響を与えない。全てをオオカミに帰するのは、全く非現実的である。これは実にロマンティックな、実在しない世界の物語である」と述べ、上記解説(評価)を強く否定している。

 ②コロラド州立大学 自然資源生態研究所 トム・ホッブス氏の見解

「かってY公園からオオカミがいなくなったことで、公園に大きな生態的影響を与えたことは、科学者間で異論はない。しかし、オオカミを復活させたことで何が起こるかについては、科学者間で意見が分かれている」と語っている、そして、Y公園に欠けていた重要な生物はビーバーである。ビーバーの生息が安定するには、1.8m以上の柳が必要だが、オオカミの復活は、柳の生長には殆ど影響を与えてない」、Y公園の生態系の大きな変化は、オオカミ再導入とは別の所にある可能性を述べてる。

③兵庫県 森林動物研究センター 研究総括官 林 良博氏 のエッセイ

 「オオカミ問題ふたたび」

米国での人為による狼の絶滅後 、エルクの増加により森林・植生破壊を止めるため1994年、カナダからシンリンオオカミを66頭移入することを決め、’95,’96年にY公園に31頭が、アイダホ州に残りが放獣された。それらが10余年後の2008年には、ロッキー山系北部全体で狼の生息数は1,774頭に増加した。

一方、この間の狼の捕獲・駆除は852頭も有り、狼保護の必要性が無くなり、絶滅危惧種の指定を解除した。さらに、連邦政府は2009年には狼対策費として3.7億円を支出した。また、狼の家畜被害はヒツジ476頭、ウマ、ウシ、ヤギ、イヌ計632頭にもなり、その補償のため約1.0億円が支払われた、と述べている。

Ⅳ その他の地域での導入事例  (フリー百科辞典 ウィキペディア オオカミの再導入)

中央・西ヨーロッパ

狼が絶滅したと考えられるいくつかの地域で、再導入が検討されている。デンマーク、ドイツ、イタリア、スコットランドなどのヨーロッパ各国のNGOは、田舎の森林地帯に再導入することを提唱している。提案者達は、「再導入は観光や生物多様性に利益がある」と主張するが、一方で再導入による「家畜の損失を怖れる」意見がある。いくつかの国ではNGOから、USAで実施されていると同様の補償が提案されている。

日本の世論

日本オオカミ協会は、1993年以来、全国民を対象に狼再導入の是非についてアンケートを取っている。開始当初は 賛成12.5%、反対44.8%、分からない42.7%であったが、年々賛成の割合が増える傾向にあり、最新の2019年の調査では、賛成41.2%、反対14.5%、分からない43.9%となって、約30年の間に賛否の比率が逆転している。

Ⅴ 結論

現在、日本の農山村では、生態系の頂点に立つキーストーン種が不在のため、シカやイノシシ、外来種のアライグマ、ミンクが猛烈に生息数を増やし、農村部の過疎化と伴って、山村社会は崩壊の危機に面している。しかし、幸運のことに、かって我が国に生息していたシカと同種の「タイリクオオカミ」が近隣のアジア大陸には生息している。

狼の導入に関しての功罪(メリット、デメリット)を、これまで論じた主旨を踏まえて表にして対比してみる。

これを見ると「オオカミ導入のメリットは明白」である。

金銭的に評価してないが、林業だけを取り上げても、森林1haの造成費は約100万円 、北海道だけで年間2,000ha以上がシカの食害で被害を受けている。その損害は約20億円 、さらに天然林では稚樹の消失だけで仮に1ha当たり1,000円と想定しても 50億円になる。また、土砂崩壊が発生すると1箇所の復旧には数億円が必要になる。その結果、北海道だけで年約100億円となると予想される。これとは別に、森林には木材生産の以外に国土保全、気象緩和、野生鳥獣の保護、景観保全などの多くの間接的効用が数多くあり、日本学術会議によると、森林1haの貨幣評価は年280万円(全国では約70兆円)に及ぶという。

狼の導入は、この他イノシシ、サル、アライグマ、ミンクなど在来種や外来種にも及ぶ。 これら動物の摂食による被害額は、両生類や爬虫類、昆虫など評価方法の解らぬものだけでも甚大であろう。さらに農業被害は、過疎化した山村社会の崩壊をもたらすなど、種の多様性保全や、山村の定住化など現代我国の核心問題にも深く関係する。

一方、導入した狼の数が増えてくると、生息数のモニタリングや必要な駆除対策、更には予測しない病気等の対策が必要になる。それに伴う家畜被害対策も必要になるそのため米国では2009年約4億円の支出があったという。

家畜被害のポーランド事例では、被害の大部分はヒツジ(1頭80-160$)で、その被害額は年数十万円であり、地方行政を通じて国家から補償金が払われるという。そのため、農業者にとって経済的には大きな損害にはなっていないという。因みに、我が国には野生動物による産業被害に対する補償制度はない。

人身被害に関しては、日本の民俗、アイヌの伝承、現在アジアの事例から皆無とは言えないが殆ど見られないという。モンゴルでは健康な狼は、人間を襲わないという(狂犬病羅病個体は除く)。

このほか想定外の出費もあろうが、再生可能な農林業、特に林業に基盤を置く山村社会の存続、更には国土の保全、生態系の保全に要する莫大な支出に比べるとはるかに少ないと言えよう。

 私の意見

生物学的、林業・農業的視点に立っても、市民的立場に立っても、上表から「導入のメリットの方が断然多い」と思われます。むしろ「導入すべき」と考えます。

それ故、私は、我が山野へのオオカミの再導入に、もろ手を挙げて賛成します。

ご理解ある方のご賛同をお願いし、本稿を閉じます。    ではまた!!