2020年7月 コロナ禍中の帰省

10か月ぶりの霊峰富士の雄姿。夕方、南アルプスの山影が富士の山麓に映る。(7/2)

年始めに予定していた山梨への帰省が、航空会社からの連絡で実現となった。4月以降毎月の予約が変更やら欠航でキャンセルの繰り返し。コロナ禍も小康状況になった7月1日にやっと解禁。「札幌-千歳-成田-新宿-甲府-韮崎」往復8日間の小旅行である。

札幌-千歳空港間の高速連絡バスは、1週間程前から平常運行となり、いつもの半分程度の乗客。11:10発のピーチ航空の運航便は、通路を挟んで両側の真中が空席の2/3の客数で離陸。成田-日暮里は京成スカイライナーで、これは40分毎の運行で便数は約半分、特急券500円での客引きキャンペーン中であったが、お客は1車両2~3人とガラガラ。

JR日暮里-新宿(山手線)-高尾間はほぼ満席、高尾-甲府間は1/3程度席は埋まっている。このように、東京都一日のコロナ新患数が100名前後でも、多くの利用者は感染を避け、外出を控えている。一方、交通機関は、JRはほぼ100%。私鉄は7-8割程度の運行か?・・・

15:53 高尾発小淵沢行き普通列車。出発前の風景。途中から1/3ほど席が埋まった。

一方、成田空港から各地への長距離バスは100%運休状態であった。 人の集まる東京、新宿駅を初め多くの通勤・通学、旅行客の乗り降りする鉄道よりも、高速長距離バスの方が、いわゆる「3密対策」も徹底し易いだろうに思いながら鉄道各駅を通過。 夕方、予定通り山梨の実家に辿り着く。翌日、凡そ10ケ月ぶりに母屋を開放、全部屋に風を入れての大掃除、それから前庭・屋敷の草刈りを開始。親戚にお願いして一度刈っておいたので順調に進む。

テレビをつけると、九州地方では大雨特別警報が再参発せられたが、各地での河川の決壊、洪水による家屋の流失・崩壊、鉄橋や道路の損壊、流亡、山崩れ、それに伴う行方不明者などが連日放映されている。

郷里山梨は3日まで雨なし、草を刈った庭には、めずらしい青と橙色のヒョウモン蝶が舞う。早速カメラに納める。その名前は「ツマグロヒョウモン」という。

庭の柿の木には、姿はよく見えないがヒヨドリ大の焦げ茶色でツグミのようによくさえずる鳥がいる。これも私の子供の頃には見慣れない鳥だ。親戚によると、中国産のペットが逃げ出し野生化したもので、最近大繁殖しているガビチョウ(画眉鳥)だという。見慣れぬ蝶や鳥を見て楽しんだ。翌日、裏山の所有森林に入ってビックリ。間伐跡の空地に植えた杉の苗が、鹿に喰われて緑の棒状になり果てている。本来ならば1mを越えるふさふさとした若木に育っているものが・・・。

呆然として座り込む。立ち上がり、再び山を見回る気力も失せてしまった。オートバイでの帰路、林道沿いにダイモンジソウの大群落を見つける。これが唯一の救い。

連日テレビに放映された線状降水帯。H24年にも同じ個所に線条降水帯が発生し大洪水に見舞われた。

翌日から3日ほど雨の日が続く。4/7 前線は九州-四国辺りに長期間停滞し、線状降水帯を形成しながら徐々に北上し、中国、近畿・東海にも雨が降り出した。梅雨は未だ明けていない。

予報ではまだまだ続くという。そうこうしている内に帰る日になる。前日(7/7)、ネットでJR中央線の運行を確認、航空便も平常という。当日(7/8)はいつもより早く起き、JRの運行を確かめる。長野-大月間が不通で運行の目途は立たないという。これは大変と高速バスを調べる。南アルプス市役所前から午前中に一便、新宿行きが15分後に出るという。親戚に頼んで車で2kmほど送ってもらい、高速バスに間一髪で間に合う。予約なしだが乗客はわずか数人ゆえ乗車OK。新宿には予定より10分以上も早く着く。それ以降札幌まで、何らハプニングなく無事帰宅。

今回は、最大脅威のコロナウイルスよりも、予期せぬ集中豪雨、土砂災害、それに山林のシカ食害が甚大。これら自然の反逆は最近経常化し、過疎の人気のない山村集落を直撃し、これに新型コロナが加わり、世の中は騒然としている。その中で、今回は珍しくも、蝶や鳥、そして植物群落と出会うことが出来た。

帰宅して15日目。7/24現在の日本中での1日のコロナ感染者は900名を超し、累計2.8万人、死者990人。世界中では感染者1,520万人、死者62万人超となり、一日の感染者は27万人、死者は6千人を越える。最悪の事態だ。

今後、どのように展開するか見当もつかない。それなのに米・中・ロは相変わらず愚かな軍拡競争に血道を上げている。小生は、当分、旅行のお預けは当然、極力外出を控えて読書三昧とするか・・・。では、また。

くれぐれも、ずるがしこい「新型コロナウイルス」に、ご用心!ご用心‼

参考

①  ツマグロヒョウモン(タテハチョウ科)  前肢長:38-45mm   分布:本州以南,南西諸島

オス、メスの色彩斑紋は著しく違い、メスの前肢端は紫黒色に白帯がある。ヒョウモン類にしては珍しく熱帯まで分布している暖地蝶。荒れ地、人家付近、樹林周辺など色々な場所で見られる。(日本の昆虫生態図鑑 今井初太郎著 )

② ガビチョウ(画眉鳥) (スズメ目チメドリ科ガビチョウ属)

特定外来生物 ガビチョウ。ペットが逃げ出し野生化。

ガビチョウは、同属のカオグロガビチョウ、カオジロガビチョウと共に外来生物法特定外来生物に指定されており、日本の侵略的外来種ワースト100定種にもなっている。

特定外来生物:略称「特定外来生物防止法(2006.6.1制定)」では、生態系を乱す、人に害を与える、農林水産業に被害のおそれのある外国原産の生物を、これに指定し、飼育、栽培、保管、運輸、搬入などを規制する。ブラックバス、アライグマなどと同様、駆除すべき生物である。

特徴:ヒヨドリ大の外来種、本来は中国南部や東南アジアに生息する。ペットとして輸入された個体が逃げ出したり、放たれたりして、野生化した。1980年代に九州地方で確認され、現在は東北地方南部まで分布域を広げている。平地林から山地林に生息し、下草の多い藪を好む。冬期は平地林に小群で生息する。雑食性で、昆虫や種子を地上で採食する。雌雄同色で体上面は緑色。目の周辺に特徴的な白い勾玉模様がある。クチバシは黄色。「ヒイーヒョイ 、ヒイーヒョイ、ビュウ ビュウ ビュウ・・・」などと複雑な声を織り交ぜて長時間さえずる。声量がありとてもにぎやか。やかましいほどのさえずり!!

(ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑  監修 樋口広芳、著 石田光史   ナツメ社)

③ ダイモンジソウ(ユキノシタ科)

ダイモンジソウの群落

ユキノシタ科の多年草。日本全土、東アジアに分布、山地の湿ったところに生える。夏~秋、20~30cmの花茎を出し、多数の白色の小花を横向きに開く。花弁は5枚、上の3枚は小さく、下の2枚はより細長いので「大」の字に見える。 これがこの名の由来。

カラー植物百花 平凡社)

④ 線状降水帯

集中豪雨の多くは、線状降水帯と呼ばれる細長い発達した雨雲が引き起こす。線状降水帯は、長さ 100-200km、幅10-30km位である。こうした雨雲がかかり続けると数時間激しい雨が降り、集中豪雨が起こる。H24.7の九州豪雨では、1時間に80mm以上、数時間で200mmを超える雨が降った。

線状降水帯ができる場所は2つある。1は、前線や低気圧付近。2は、前線や低気圧の南側、暖かく湿った空気が流れ込むエリアである。2では、雨粒のもととなる水蒸気がたくさんあり、風と風のぶっつかり(収束)する。

線状降水帯の発生:暖かく湿った空気がぶつかり合う(収束する)と雲が発生する。湿った大気は、凝結熱によって上昇気流が強まり、雨雲が発生する。これが連なり線状降水帯となる。

( 天気と気象  著 佐藤公俊 木本昌秀 学研 )

コメント

  1. 山根 より:

    ガビチョウ 多摩にいたころ よく撮ったものです

    • masahide より:

      鮮明な写真ありがとう。長年のキャリアーがにじみ出ております。
      さすがですね。今後ともよろしく。青柳

      • Forest Boy より:

        鮮明な写真ありがとう。長年のキャリアーがにじみ出ていますね。流石です。今後ともよろしく。青柳