札幌円山動物園でシンリンオオカミに会う。

新しくお目見えの「ジェリ(左)」と「カエデ」の姉妹オオカミ

2022.12.11 オオカミに会いたくなって、札幌の円山動物園に電話した。すると今日、鹿児島市の平川動物園から2頭送られて着き、一般公開は15日の9:30という。15日朝、雪の舞う中、イソイソと地下鉄で出かける。1時間で到着、高齢者は無料という。有り難い!! 早速オオカミ舎に向かう。

オオカミに会う

オオカミとエゾシカが同じ建物の中に展示され、建物の左側がエゾシカ、右側がオオカミである。舎に近づくがエゾシカは、何ら気にすることなく2頭が給餌台の干し草を食べている。入口から入り、右側のオオカミを窓ガラス越しにみると、オオカミは、雪の積もった築山のトドマツとカンバの茂み間やその周囲を歩き回っている。体は大きく、人を怖れる気配はない。一時も休むことなく活発に歩き回っている。早速カメラに納めようとするが動きが速い。

狼舎の中の案内掲示「オオカミの食事」

回廊があり2階からも見られる。2Fに上がると、眼下に2匹の動きが全望できる。2匹は近づいたり離れたり、全く自由だ。雌雄かなと思ったりした。 時々、築山の頂上で座ったり横になったりするようになった。4、5日前までは南国鹿児島にいたのが今日は札幌で雪の中、寒くはないのだろうか? 30分ほど見て充分堪能し、体も冷えてきたので、再び1階の展示室に戻った。椅子で休憩しながら、展示の解説案内を読む。この2匹は姉妹で、4月に生まれた未だ8か月の子どもであった。でも体重は30kgもありそう、2年で性成熟、体重は50㎏になるという。既に大人位の大きさだ。オオカミは成長が早いのだろうか。

容姿は威風堂々、素晴らしい体つきであった。名前は黒っぽいのが「ジェリ」、白っぽいのが「カエデ」である。

ところで、私がオオカミを見たくなったのは、約130年前、明治中期、我が国の生態系の頂点に君臨し、自然界を支配し、安定的に治めていたオオカミが、毒殺によって絶滅させられた。それ故、再びオオカミを我が山野に導入し、シカやアライグマなど「招かざる客」の猛烈な増殖を止め、これらを適正数に管理したいからである。

タイリクオオカミのパックで狩り(動物大百科 1食肉類 平凡社)

久々に見るオオカミは予想に違わず素晴らしく、こんな姿のオオカミが山野を駆けめぐり、増えに増えたシカや外来のアライグマを次々に狩る姿を想像すると、なんだか気持ちがウキウキしてきた。また、若い頃に山野を跋渉していた時、こんなオオカミに出会ったら、かってアイヌの人達のように、咳払いをし、オオカミが狩った獲物のシカをもらって「縄で縛って担いで帰る」という夢みたいなことを思ってもみた。

こんなことを想い出させるオオカミとの出会いであり、コロナ禍で落ち込んでいたこの3年で久々に明るい年の瀬となった。

ところで、このオオカミは「シンリンオオカミ」と言って、日本の古来のオオカミとはちょっと違っている。このオオカミの分布は、北米、カナダのオンタリオ州南東部とケベック州南部という。

 種としてのオオカミ

世界の狼の分布図 オオカミの生息数は約30万頭

オオカミは、北半球に広く分布し、ユーラシア大陸に分布するのはタイリクオオカミであり、北米に分布するハイイロオオカミは、その亜種であるという。

日本にかって棲んでいたニホンオオカミもタイリクオオカミの亜種と見なされる。イギリス、日本では絶滅したが、日本に棲んでいた2亜種は次の通り。

 ニホンオオカミ:本州、四国、九州に分布。現在のタイリクオオカミとは別の集団から12~13万年前に枝分かれし、朝鮮半島経由で渡来した亜種で、小型であるがハイイロオオカミと同じ種であるという。

 エゾオオカミ:北海道がサハリンと陸続きだった頃(約1.7~2.2万年前)、現在のタイリクオオカミと同じ種が枝分かれして渡来したものという。

最近のDNA分析により、ハイイロオオカミの亜種であるエゾオオカミも、また固有種と信じられていたニホンオオカミもハイイロオオカミであることが確認され、再導入に関する分類学的な問題はなくなったと言われる(タイリクオオカミの別名がハイイロオオカミとも言える)。   シンリンオオカミは、米国のハイイロオオカミの亜種で、特に体が大きく、成獣は50kgに及ぶという。

新しい住人ジェリ、カエデの家系は、父親は3年前までこの円山動物園にいた「ショウ」、おじいさんはこの5月に死んだジェイ。母親は旭山動物園に居た「ミナ」である。共に北海道とはゆかりがある客人である、という。

オオカミの寿命は約15年。暫く付き合うことになろう。オオカミさん!! よろしく。

では、また!!

コメント

  1. 山根 より:

    狼に会いに行ったのですか。元気ですね(^_-)-☆