2020 再び「アライグマ」に挑戦 !!

当別町、機械センターでのアライグマ捕獲技術見学会 の開催風景

令和2年6月、北海道石狩振興局より独自事業「野幌セミナー」の講師依頼の1通のFAXが届いた。主旨は、道央地区でアライグマが急増している。しかし、かっての関係者の大方がリタイヤーや転出し、そのノウハウの継承者が不在となり、改めてアライグマ問題に挑戦せざるを得なくなった、とのことであった。

本道のアライグマ農業被害はH23年の1.2億円をピークに以後半減していたが、26年頃から増え始め、29年には空知地域を中心に全道で1億円にまで戻しているという。

私は、ここ十数年、農水省の「農作物野生鳥獣被害対策アドバイザー」に登録されている。しかし、その間1度だけ、岩見沢郊外のあるワイナリーでブドウ畑にアライグマが出没している、「確認して保全対策を講じて欲しい」という要請があった。そこで現地調査を行ったが、生息の痕跡を確認できず、ワナを掛けても捕獲できなかった経験を持つ。その他、これと言った要請もないまま、前回(H30)の更新の際、これを最後に登録返上を検討しているところであった。

今回、私に白羽の矢が立ったのは、「野生鳥獣被害アドバイザー」であることの他に、本道でアライグマが問題になり始めた平成10年前後よりこの問題に深く関っていることによる。特に、H12年、道発注の新事業「アライグマ捕獲調査」の委託先、道森林整備公社に席を置き、凡そ10年をかけて、約3千頭を捕獲し「アライグマの生態、生息環境、効果的なワナ捕獲方法等」を取り纏め、道に報告したり、哺乳類学会に報告したことなどが要因と思われる。

このような経緯があり、今回、第1回目の集まりが8月25日、当別町で持たれた。    8/25 13:00 同町機械センターにて「アライグマ捕獲技術見学会」が催された。

まず当別町環境課の先進事例が紹介され、引き続いて、近くの同町家庭菜園に移動した。ここでは2週間程前からトウキビやカボチャを食害しているアライグマ捕獲のため、園内2個所に箱ワナが設置されており、それを見学した。しかし、まだ捕獲実績はないという。

その後、道認定鳥獣捕獲等事業者(株)S 様より話題提供があり、捕獲したアライグマの殺処分の最新情報として、携帯用のバッテリーを用いて、ワナの中で処分する(電気止め刺し)方法について、実演があった。この方法は現在、全国処分件数の7~8割に及ぶという。経費は1セット5~6万円と安価で調達でき、山の中でも歩いてゆけるところでは何処でもいつでも導入可能という。

続いて「意見交換会」があり、捕獲事業全般についての自由討論がなされ、私からは、ワナ設置場所の選定、効果的な撒き餌の方法等について、家庭菜園の設置ワナを事例に助言を行った。

参加者は、当別町、江別市、新篠津村の関係職員、認定業者4社、道自然環境課、農政課、それに事務局の石狩振興局の約20名であった。 報道機関としてHBCが随行された。

これとは別、この見学会に出席のK社からの要請により、翌26日、本社を伺い、約2時間、ワナ捕獲事業全般、及び、ワナ管理上の大課題である混獲(錯誤捕獲)について、中でも例の多いネズミ類について、具体的な助言を行った。

このように、猛暑に加え新型コロナ禍の中、K社テレワークにより支社へのアドバイザーとしての役割の一端を果すことが出来ました。

この先、11月には、道立野幌博物館の講堂で、数日にわたり「オオカミ、ヒグマ、エゾシカ」など開拓時代からの北海道の野生動物、それに野生化した外来動物「アライグマ」について、多方面の方による講演会が計画されています。私は目下その資料(スライド)づくりに追われています。その際には多数ご参加をお願いします。

私の提言

 私は、仕事として過去10年間に約3千頭、後継者はその後の10年間で4千頭以上ものアライグマを捕殺してきた。即ち、この20年間に7千頭以上、それに胎内外の仔どもを加えると1万頭に近いアライグマの命を奪ってきた。しかも、これは本道で捕殺しているもののほんの1部である。

 私たちは、アライグマが憎くて殺しているのではない。人間の身勝手な行為(ペットとして受け入れ、手に余して放棄等)によって、アライグマも生きんがために野生化し、北海道の誇る優れて豊かな自然(生態系)に取り返しのつかない損傷(ダメージ)を与え、今後も与え続けるからである。もちろん農業被害も大きい。

 これら被害は、目に見えるもの(小)、目に見えないもの(大)を含め、本道のかけがいのない豊かな自然を次世代に継承していくために、アライグマの最後の1頭までを、容赦なく追いつめ、取り尽くさなければならない。

 この侵略的な外来種を「特定外来生物として」法に従い、今すぐにも駆逐しなければならない、と考える。それには、道、市町村、農業団体、道民、それに自然を愛する国民が一丸となって、知恵と力とお金を出し合って、ワナ、銃、薬物など安全で可能な限りの手段を投入して駆除しなければならない。しかも、駆除が終わるまで手を緩めることは出来ない。

 こうしてはじめて、私たちが奪った1万頭(全道・国ではその10倍、100倍)もの罪のない生命の償いとなるのであろう。思いつきでダラダラと目標も定めず、わずかな予算で捕殺を繰り返すのは、お釈迦さま云う「殺生」にあたる。仏教では正しい行い(五戒)の第一を「不殺生」とする。妄りに生命を奪うこと(殺生)は大罪である。  山川草木悉皆成仏 合掌。

これは10年前、アライグマ捕獲から手を引く時の感想で、今まさにその意を強くしているところである。

では、また・・・・

参考

「農作物野生鳥獣被害対策アドバイザー」とは

近年、イノシシ、シカ、サル等野生鳥獣による農作物被害が深刻化している中、地域における農作物の被害防止対策を的確かつ効果的に実施するため、野生鳥獣による農作物被害の防除に関する専門的な知識や経験を有し、地域の要請に応じて被害防止対策の実施に対する助言等を行える者を、「農作物野生鳥獣被害対策アドバイザー」として登録、紹介する ・・・(農水省生産局長通達)

コメント

  1. 山根 より:

    アライグマ・ラスカル 以後ですね