ヨセミテ国立公園と山火事

ヨセミテ渓谷の南口から入ると、周囲はここ数年来の山火事跡の連続でした。ワヲナトンネルに着くと更に驚きました。数百キロ離れた山火事の煙がU字谷を埋め、その底は上部が枯れたくすんだ緑の原始の森でした。

ヨセミテ・グランドキャニオンの旅(2017.10.12-17)
今回のヨセミテ・グランドキャニオンは、40年ぶり2回目の旅であった。前回は同僚とそして今回は妻との二人行脚である。
旅への誘因は、1、今年6月のニュージーの旅に魅了され、元気な内に多くを見ておこうと思い立ったこと。2,この旅には、自然景観のほか無駄な日程が含まれていないこと等であった。
出発前の危惧は、現状の体力で充分参加できるか、それにカリフォルニアの大山火事の心配であった。10月12日午後3時、千歳を発ち、羽田、サンフランシスコ、ラスベガスと順調に飛行を続け、第1の目的地グランドキャニオンには翌日午後3時に到着。現地説明員の好意で予定の2つの観光ポイント以外にもデザート・ビューでの追加観光をしたにも関わらず、この世のものとは思えないほど広大で奇跡的な景観からは去りがたく、第2の目的地アンテロープキャニオンに臨んでもグランドキャニオンに後ろ髪を引かれる思いであった。

息をのむグランドキャニオンの雄姿

アンテロープキャニオン

思えば、前回の訪問は2月で、沙漠では稀なブリザート(吹雪)に出くわし、ヘリでの遊覧を諦めざるを得なかった。一面雪の原で遥か下方の谷底は雨となっていた。
グランドキャニオンはいくら見ていてもこれで満喫というようなものではない。言葉でも写真でもとても言い尽くせるものでなく、この世の奇跡としか言いようがない。
グランドキャニオンを発ち、ルート66,40を西にとる。フレスノあたりから北の空は抜けるように青いはずが、山の端がかすに灰色にくすんでいる。山火事の煙である。(左下写真)
沙漠に生える赤松類の灌木の疎林やサボテンの原を延々と走り続けると、シエラネバタ山脈にたどり着き、15日午後3時頃やっとヨセミテ公園の南入口に到達した。入園手続きが済み、ゲートを入ると公園内には至る所に最近10年位の間に発生した新しい山火事跡が見られ、樹高40mにも及ぶ主に赤松類の焼死した大木が林立し、所々、通行に危険なため伐到処理された焼けこげた丸太が道路沿いに放置されている。 (下写真)                

このような痛々しい光景が延々と続き、やがてトンネルをくぐるとヨセミテ渓谷を一望出来るトンネルビューに到着した。そこから見る光景はすばらしかった。エルキャピタン、ハーフドーム、氷河が削ったU字谷を埋め尽くす原始の森林、そこに懸かる数々の滝、まさに思い続けてきた幻の光景である。しかし、改めてよく見ると以前の光景と同じではない。
谷の奥から吹き下ろして押し寄せてくる灰色の煙は、山火事特有のマツの焦げた臭いを伴い、全てを薄いベールで覆い、加えて、眼下に広がる谷底の原始の森は、赤松やダグラスファー等の虫害で枯れた巨木で覆われ、緑の精彩を欠いている(表紙写真)。

前回の2月も流水は少なく、数多くの滝は枯れていたが今回は更に流れ落ちる滝は細く、地球温暖化の影響はここにもはっきりと現れている。だが、マーセッド川の水は清く澄んで、公園内は週末の観光客で混雑していた。
そして、夕暮れが迫り、真っ赤な太陽を背に、迫り来る真暗なヨセミテの森の往路を辿り帰路についた。これで、ヨセミテ再訪の旅は数々の発見を秘めて無事に終わった。

最後に掲げる左の写真は、40年前の同じ場所の写真である。

コメント

  1. ヒーロー より:

    forest boyを拝見しました!
    素晴らしいホームページに感動いたしました!
    年賀状を頂いてから早速開いて、毎日覗いています!

    さすが立派な内容 そして素晴らしい写真の数々・・!
    これからも楽しみにしております!